今回も、本社、工場、支店等の「拠点」目線に立って、防災・BCPを考える上でどのような具体策が重要かについて考えていきたいと思います。
多くの企業でBCP(事業継続計画)については、その言葉や知識については一定の浸透がなされてはいますが、実は防災の基本である「拠点を如何に守るか」という考え方は、一見地味で地道な取組みなこともあり、見落とされていることやBCP同様に形骸化しているケースもあるので注意が必要です。
拠点単位の危機管理体制
拠点ごとには多くの場合、支店長や工場長といった拠点の責任者(本稿では便宜上「拠点長」と呼称します)が置かれていることが多いと思います。
本来この拠点長は、平時も有事も拠点を代表する責任者として振る舞うことが求められ、職制上も一定の役割・責任が付与されるべきものです。しかし多くの企業では、とりあえず名簿上だけ拠点長に指名しておいて、次の人事異動まで放置しているというケースもあるようです。
防災・BCPの視点でいうと、拠点長は災害時の当該拠点の「防災責任者」として、拠点全体の指揮を執り、拠点の対策本部長として本社災害対策本部との調整窓口を務め、同時に地域住民と折衝が必要な場合は拠点を代表してこれにあたることが求められます。
また、複数の建屋が同一拠点に存在する場合や、オフィスビルなどで複数フロアを占有しているような場合は、実態にあった危機管理体制を構築しておくことが重要です。拠点長の下に、建屋ごとの責任者やフロア単位の責任者を置き、運用しやすい体制を構築しておきましょう。
また多くの場合、拠点長は平時の主担当業務を持ちつつ、有事(災害時)には拠点の防災責任者として危機対応にあたることになります。よってその人選は慎重に行うことが重要です。拠点長候補者のこれまでのキャリア、実戦経験、防災・BCPに関する基本的素養、勇気や胆力そしてリーダーシップなども考慮し、適切な人選に努めることが大切です。
早期復旧策への視点
危機管理体制を整えた上で拠点長に求められるのは、防災・BCPの基本である「現地復旧」をどのように迅速に進めるか、そのためにどのような事前対策・平時の備えを考え実行していくかということです。
そのためにはまず拠点長自身が多角的な視点を持つことが重要です。拠点内の建屋・施設設備をよく理解し、拠点のある周辺地域を歩き地形やハザードリスクについて関心を持ち、同時に国内・海外各拠点の実情についても概要で良いので把握に努める必要があります。
また、拠点の早期復旧を目指す上では、例えば平時から拠点の維持管理や修繕に関する業者チームと良好な関係性を構築したり、自拠点と機能や性質の近い他拠点における復旧対策の備えについて関心をもつなどして、有事に拠点間で相互応援が可能かどうかも点検しておく必要があるでしょう。
特に復旧業者の確保については、拠点の位置と業者の場所という基本的な条件のみではなく、業界内で自社がどのような位置を占めているか(優先的に復旧業者を配置してくれそうか)という点も意識しましょう。そのうえで特定の復旧業者と関係強化を図るべきか、あるいは業者候補の選択肢を平時から意図的に増やしておくべきかなどを検討しておく必要があります。
同時に、復旧業者に依頼せざるを得ない範囲が一定程度あるとしても、一方で自社の資源で応急的・暫定的な復旧が可能か否か、そのための設備備蓄が必要かなどについても併せて検討しておきたいところです。その際、対応にあたる内部人材の資質・スキルも視野に入れて点検しておくと、一層有効な準備になるでしょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
以上