昨年8月と今年1月には日向灘で強い地震が発生しました。1月に発生した際は「巨大地震注意」は発表されませんでしたが、短期間(約5カ月)で2回発生したことの評価は分かれるところです。
引き続き各企業には、事業継続計画の品質向上とともに、これを支える防災対策についても戦略的に前進させる必要があります。
防災対策にも戦略が必要
防災対策については、BCP策定と同様、良い意味でも悪い意味でも、企業ごとに独自の発展を遂げてしまっている場合が多く見られています。
もちろん防災対策には確固たる正解はないかもしれませんが、少なくとも、全社で標準的な考え方や共通の視点・取組方針などの社内ガイドライン的なものは、経営戦略や内部統制の観点からも本来必要です。
しかし現実的には、工場・支店等の各拠点で懸命な防災対策を進めている場合であっても、各拠点の判断に委ねてしまっていたり、共通の基準がないので全拠点共通の進捗管理がなされていない場合も多く見られます。さらに建屋の耐震性のチェックを全て終えて、「うちの会社はこれで大丈夫」と決めつけてしまっている場合もあるのです。
戦略的に進めるために必要なこと
では、どのような点に注意すれば、企業において実効性の高い防災対策を実施できるのでしょうか。この点、まず必要なのは「言葉」の定義、用語の意味の共通化であると思います。
例えば、自社において「防災活動」とはそもそも何かを、分かりやすく定義しておく必要があります。例えば、防災活動とは「拠点単位で、人的被害・物的被害を最小化するための事前対策と発生後の対応」と定義し、一方で事業継続活動とは、「自社の最低限の会社機能の維持や財務上の影響を最小化するための組織的な活動で、有事の経営ともいえる活動」というように。百点満点の定義は必要ありませんが、やはり全社的に共通言語で対話ができる環境整備は必要です。
さらに、どのような考え方で防災活動を進めるかについても、共通の方針やガイドライン的なものを策定した上で進めることが求められます。例えば、防災活動とは、①事前に被害を軽減するための、例えば設備の耐震固定や、止水版の準備や、重要設備の上層階への移転や、拠点そのものの移転などと、②万が一被災した場合の復旧対策、例えば、自社による復旧活動、修理業者の手配などを指すというように、具体例を挙げつつ整理していくと分かりやすくなると思います。
特に重要な屋内設備の耐震対策
基本的な用語の定義や考え方を整理する中で、見落としがちなポイントの一つが、屋内設備の耐震対策です。多くの企業で建屋の耐震性能の問題は議論されていますが、屋内の設備については戦略的に協議がなされていない場合も散見されています。
屋内設備と一言で言っても、多種多様なものが存在します。製造ラインについても、製造する製品によって工程は様々ですし、その結果として地震の揺れ等にどの程度耐えうるのか、耐震固定だけで十分な対策と言えるかという点についても、個別具体的に検討し有効な対策を立案することが求められます。
また自動倉庫など倉庫部分は、製造工程とはまた異なるリスクがあり、一般的には地震に比較的弱いと言われています。自ずから床面に耐震固定を施す製造設備とは異なる考え方や耐震対策、さらには復旧対策が求められます。
昨今、上場企業のガバナンスのあり方が議論されることが多くなりました。やはり防災対策に関してもガバナンス・内部統制の観点からも総点検を実施し、本当にリスクに見合った対策がなされているか、従業員に対する安全配慮義務の観点から十分な対策があるかについて、是々非々の議論が必要であると思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
以上