1月15日(土)未明の津波警報に驚かれた方が多いと思います。私も朝5時半ごろテレビで「岩手県に津波警報」「今すぐ避難してください!」のテロップに地震だと思いました。しかし気象庁会見の「これを津波と言っていいのか分からないが、潮位が上がってきたので安全を考えて津波警報・注意報の発表となった」という主旨の内容に、何が起こったのかPCを立ち上げて検索したところ、南太平洋のトンガ付近で海底火山が爆発し、その影響で海面が波打っているとのこと、衛星映像では噴煙が太平洋上に広がる様子が鮮明にとらえられておりました。噴火した火山は、フンガ・トンガ=トンガ・ハアパイ火山で昨年12月頃から活動が活発化していたそうです。活動周期が900年~1000年で、前回の噴火が1100年頃と言われていますから、1000年に1度の噴火と説明する専門家もおられました。また1991年フィリピンのピナトゥボ火山の噴火を例に、地球の気候への影響への心配の声もありました。国内においては、徳島で船舶が転覆する被害がありましたが、人的被害がなかったことが幸いでした。
フンガ・トンガ=トンガ・ハアパイ火山はプレート境界の火山のようで、日本に分布する火山帯と同じ分類にあたるようです。気象庁のホームページの「火山噴火の仕組み」によると、「陸のプレートの下に沈み込んだ海のプレートからの水の働きによって上部マントルの一部が融けて上昇していき、マグマが形成される。このような過程でいったんマグマだまりに蓄えられるなど様々な作用を受けて地表に噴出し、これが海溝沿いの火山となる」と説明があります。日本の噴火例として富士山の宝永大噴火があります。1707年(宝永四年)の10月28日に宝永東海地震が発生し、同年12月3日頃から富士山中で異常な鳴動と小地震の群発、15日には群発地震の規模が拡大し、名古屋から江戸までの広い範囲で地震を感じた、そして12月16日10時頃に噴火を開始したとのことです※。地震活動と火山活動が連動しています。
地球内部でマントルが対流して、その上に乗っている十数枚のプレートの動きによって火山活動や地震活動が発生しているのであれば、遠くない将来、「南海トラフ地震臨時情報」の気象庁会見をテレビで見ているかもしれません。ただし専門家の多くが言われているように、噴火や地震は自然現象であり、それを災害にしないことが重要です。防災・BCPの対応を急がねばと思います。
そういう私は昨年末からの東京近辺での地震の頻発に恐れをなして、家具転倒防止グッズとベッドの下に置く避難用の底の厚い靴を買い込みました。本年が災害のない静かな年となるよう願ってやみません。
2022年1月
構造計画研究所 企業防災チーム 古川欽也
※参考文献
中央防災会議『災害教訓の継承に関する専門調査会』編,『災害史に学ぶ~火山編~』(内閣府(防災担当),平成23年)